E∈R^Nの可算集合のルベーグ外測度が0なことの証明(伊藤ルベーグ積分§6問2の解答)

 測度論の基礎となる考えである.ルベーグ測度はこれを$Γ$可測な集合のみに制限したものだが,ルベーグ測度でも同様の議論が成立するはず.

Q. $E⊂R^N$が可算ならそのルベーグ外測度$μ^*(E)$は0.

A. ここで$E=(a_1, b_1]×...×(a_ν, b_ν]×...×(a_N, b_N]$.

このときルベーグ外測度$μ^*(E)=\prod^N_{ν=1}(b_ν-a_ν)$.ここで,定義からこの

$μ^*(E)$は完全加法的.これから,$E=e_1+...+e_i+...$となるような${e_i}$というEの可算無限の分割を考えると,$e_i$が一点集合となるような分割が可能なことを示す.ここで,$\mathbb{N}$を考えたとき,$\mathbb{N}$は離散集合なので自明に一点集合への可算無限分割が可能.ここで$E$の定義から$\mathbb{N}\sim E$なので$\mathbb{N}$と$E$との間に全単射写像が構成できる.ゆえに,$E$も一点集合への可算無限分割が可能.よって,ルベーグ外測度の定義から,$μ^*(e_i)=\prod^N_{ν=1}(b_{νi}-a_{νi})=0$ (∵一点集合なので$b_{νi}-a_{νi}$が0).これがすべての$i$に対して言える.$μ^*$の劣モジュラ性より,$μ^*(\cup^\infty_{i=1}e_i)=μ^*(E)\leq \sum^\infty_{i=1}μ^*(e_i)=0$(∵$μ^*$が完全加法的なこと).

よって,$μ^*(E)$は0であり,可算無限集合ルベーグ外測度は0.